今こそ、「生きる力」をくれる映画を
− はじめに −
時代の分岐点
今だからこそ、「生きる力」をくれる映画を
コロナ渦において、人々のコミュニケーションは大きな変化を余儀なくされました。
映画や演劇、音楽など芸術全般に関わる人々の創作活動も同様で、あらゆる表現の場が制限され、相手の顔が見えないコミュニケーションに違和感を抱きつつ、模索を繰り返しながら、ここまで来ました。
世界的なパンデミックに疲弊しきっている世の中に、「日本人特有の精神」を改めて発信します。
震災に限らず、交通事故、病気、自殺、出産。いくつもの物語が描かれ、登場人物たちが、「支え合い、助け合い」「何度でも立ち上がる」その懸命な姿を通して、「生きる力」をくれる映画を届けるために、この映画製作企画をしました。
守りたい者の未来のために、映画の力を
時代が抱える閉塞感が、再び自殺者数を増やし始めました。
人気俳優たちの自死は、若者たちの夢を奪い、SNS上での誹謗中傷も簡単には治まらず、 児童虐待件数は、増加の一途を辿っています。 オンラインを始めとし、人々のコミュニケーションは遠く・薄くなりつつあります。
自分の子供たちのことを考えた時に、気楽に手を振って「いってらっしゃい」とは言いにくい「現在」そして「未来」だと思います。
では、映画には、何が出来るのか? 文化庁は、文化芸術とは「人間が人間らしく生きるための糧」と定義しています。
今一度、映画本来の力を信じて、未来のために、この映画は「命の尊さ」を伝えます。
原案
元 石巻西高等学校校長 齋藤幸男著
「生かされて生きる-震災を語り継ぐ-」(河北選書)
「声なき声をつむぐ-震災を語り継ぐ- 」(河北選書)
本作品は、現在も東日本大震災の語り部として、全国で防災教育を含めた講演活動を 続けている齋藤先生の著書から発想を得た物語(オリジナルストーリー)です。
困った時は、お互い様の精神
原案である書籍「生かされて生きる-震災を語り継ぐ-」を書かれた齋藤幸男先生は、東日本大震災当時、石巻西高等学校の教頭先生として、避難所運営をされた方です。
「困った時はお互い様」つまり「支え合い、助け合う」ことは、「歴史的に災害大国である この国の、日本人の中に流れている精神」と先生は仰っています。
この映画は、被災者の人生を描いた震災映画ではありません。
人々の営みの中にある 「身近な生と死」誰にでも起こりうる、「出会いと別れ」、そして「誕生」。
「生きていくことの難しさと向き合い、繋がって、支え合う人々の姿」 時代に色褪せない物語を、心を振るわせる力強い言葉で、人々の記憶に残る映画をスクリーンに届けます。
2021.3.11 宮城県東松島市
山本透監督と齋藤幸男先生
Point
ー本作品の核となる4大要素ー
青い鯉のぼりプロジェクト
震災で亡くなった5歳の弟が 寂しくないように、当時高校生だった兄は、瓦礫の中から見つけた 青い鯉のぼりを自宅に上げた。その後、「鎮魂の祈り」や「世界中の子供達の希望のある未来を 願う」プロジェクトとして、宮城県東松島市では、毎年 3月11日から5月5日まで、青い鯉のぼり が掲揚され続けている。
青い鯉のぼりプロジェクト(共同代表:伊藤健人さん、千葉秀さん)の全面協力を得て、人々の祈りと笑顔 空一面を覆いつくす青い鯉のぼりが、この映画のラストシーンを飾ります。
2021.5.9 青い鯉のぼりプロジェクト会場にて
こども哲学
アメリカを始め、ドイツやフランスなど欧米各国で、古くから行われてきた 「考える力を身につけるための、児童の哲学対話」が近年、日本の教育現場でも「こども哲学」として実践され始めています。
今作品では、保育園児たちに「なぜ命は大切なのか?」をテーマに、 自由に話してもらい、子供たちの純粋な言葉を映画の1シーンにします。
ロック・演劇・和太鼓、芸術表現が融合する 命のエネルギー
劇中の後半、最大の見せ場は 死んでいった仲間が残した最後の曲を演奏する、Rockバンド。
魂の物語を演じる、若い俳優たちの肉声。
全ての暗闇を乗り越えた少女が敲く、和太鼓。
3つのパートの物語と音楽が完全に融合し、未だかつて観たことがない 圧巻の熱量で「命のエネルギー」をスクリーンに解き放ちます。
全編 宮城県で撮影
宮城県は今、復興が進み新しい道・橋・道路や信号など、真新しい街が立ち並んでいます。
しかし、東日本大震災で最も犠牲者数が多かったのは宮城県です。この街の人々は、深い哀しみとともに、生きて来ました。
それは「生きていく」エネルギーを振り絞り「支え合い、助け合う、日本人特有の精神」を発揮した一つの大きな結果です。
この街で「生きる力」を届ける映画を作り、後世に大切なメッセージを残します。